筆記具の原点!筆の歴史を知ろう

「書く」道具の原点って?


 
鉛筆やシャープペン、ボールペンや万年筆など、日常生活に欠かせないのが筆記具。
 
そんな筆記具の原点と言えば、筆。
 
何百年も前から使用されてきた筆から派生して、現在の様々な筆記具が誕生したのです。
 
では、「書く」道具の原点であった筆は、どのように発展していったのでしょうか。
 
今回は知られざる筆の歴史や、現在日本で使用されている筆の種類についてご紹介していきます。
 

筆の歴史

 

中国時代


 
筆の起源は、中国から。
 
秦の時代(紀元前221~207年)に、武将・蒙恬(もうてん)という人物が兎毫(とごう)、竹管の筆を作り始皇帝に献上したことが始まりだといわれています。
 

日本へ伝来


 
その後、筆は日本に伝来。
 
どの時代に伝来したか明確には分かっていませんが、今から約1700年前、応神天皇の御代に漢字とともに渡来したという説があります。
 
ちなみに現存する最古の筆は、正倉院に所蔵されている17本の筆。なんでも、8世紀中頃の作品なのだとか。
 

日本での需要の拡大


 
筆が伝来したのは、応神天皇の時代といわれてはいますが、本格的に筆の需要が伸びるのは7世紀以降、奈良時代のこと。
 
仏教が盛んになり、「写経」が広く行われるようになってから、需要がどんどん高まっていったのです。
 
当時、東京から山口まで、全国13ヶ所で筆の生産がされていたといわれています。
 
そして、平安時代には28ヶ所に。書の名人空海が遣唐使から帰朝後、唐式筆の最新技法を中国から持ち帰り、嵯峨天皇と皇太子に献上。
 
筆づくりの技法が多彩になるとともに書の技術も高まり、平安中期の三人の能書家である小野道風・藤原佐理・藤原行成を指す「三蹟(さんせき)」の誕生にも繋がりました。
 
一般庶民に広く普及したのは江戸時代のこと。
 
寺子屋での「読み」「書き」にも使われるようになり、暮らしになくてはならない伝達手段として世間に普及していったのです。
 

現在の筆


 
伝来してから長らくの間、筆の根元部分に紙を巻いて作る巻筆が多く使われていましたが、現在使われている筆は、根元まで墨を含ませることのできる水筆と呼ばれるもの。
 
そしてこの水筆が主流となったのは、中国では清以降、日本では明治以降のことでした。
 
また毛の種類について、日本では主に狸・鹿・兎・馬毛などが用いられてきましたが、明治以降は羊毛筆の需要が次第に高まり、筆全体に占める割合が増加。
 

日本の筆の種類

 
ここまで、筆の歴史についてご紹介してきました。
 
では現在、日本ではどのような種類の筆が使用されているのでしょうか。
 
代表的なものをご紹介していきます。
 

熊野筆


 
まず始めに、熊野筆についてご紹介。
 
筆記具としてだけではなくメイク用ブラシとしても有名な熊野筆は、広島県で生産されています。
 
江戸時代に出稼ぎに行っていた農民が学んだ筆の製作技術を元に、地元の木材などを使って作られるようになりました。
 
熊野筆の最大の特徴は何といっても肌触りの良さ。
 
柔らかな肌触りは、毛先を切ることなく揃える技術によって生まれるのだそう。
 

豊橋筆


 
続いては、豊橋筆について。
 
豊橋筆は愛知県などで生産される筆で、19世紀の始め、京都の職人だった鈴木甚左衛門を招いて製造を始めたのが起源とされています。
 
筆記具としての使い心地にこだわって作られた筆として高く評価され、なんと日本で活躍する書道家の多くは豊橋筆を愛用しているのだとか。
 
特徴としては墨の吸収性が高さと滑らかな書き味が挙げられ、これは「練り混ぜ」という異なる性質と長さの毛を水で混ぜ合わせる工程によるもの。
 
墨をより多く含み、より長い時間墨が筆の中に残る仕上がりになるのです。
 

奈良筆


 
三つ目に、特に古くから使われていた筆といわれている奈良筆をご紹介します。
 
こちらは筆づくり発症の地である奈良県で生産され、優れた書き心地が特徴的。
 
奈良筆も10数種類の動物の毛を組み合わせ、それぞれの動物の毛の特性を生かしてバランスを取る「練り混ぜ」で製作されています。
 
特に、ひらがなのような曲線を書くのに優れた筆に仕上がっていますよ。
 

雲平筆


 
続いては、雲平筆についてご紹介。
 
雲平筆は今から400年ほど前から京都で作られるようになった筆で、力強い線を引きたい書道家などに特に人気があります。
 
その理由は、筆先の芯となる芯毛に上毛と呼ばれる毛を巻きつける「巻筆」とよばれる製作法にあり。
 
こうして生み出された筆先の強いコシと弾力によって、迫力のある線を引くことができるのです。
 

江戸筆


 
最後にご紹介するのは、江戸筆。
 
こちらはかつての江戸、現在の東京で作られた筆です。
 
当時、子どもたちや商人に向けた筆記具が多く作られるようになり、江戸筆が誕生。
 
日本の各地方で出稼ぎに来た人が江戸で筆の作り方を学び、それぞれの地域に特有の筆を生み出すきっかけにもなりました。
 
現在、江戸筆の職人は少なくなってしまったものの、日本の伝統文化の一つとして静かに息づいているのです。
 

筆記具の原点に触れて、趣味や勉学にいそしんで


 
今回は、筆記具の原点ともいえる筆の歴史、そして現在用いられている筆の種類についてご紹介してきました。
 
学生の頃、毛筆の授業で筆を握ると、不思議と心が落ち着いた経験はありませんか?
 
筆についての知識を深めて、昔の日本の筆記文化に思いを馳せてみてはいかがでしょう。