「わたしのデザインでネイリストとお客さまが一緒に楽しんでもらえたら」田辺さおり先生(ネイルアーティスト)インタビュー

 
田辺さおりさんはテレビやウェブメディアでも取りあげられ、ネイリスト向けのセミナーの講師も務めるカリスマ・ネイルアーティスト。
 
この度はそんな田辺先生から「田辺流、ネイルデザインの創作術」を聞いてみました。
 
他にも、学生時代やネイリストを志したきっかけ、ネイリストとしてのこれまでとこれからもあわせてお伝えしていきます。
 

田辺先生のアイコン
ネイルアーティスト
田辺さおり(たなべ・さおり)


BLC nail salon代表
AKZENTZ アートディレクター

新潟市中央区にあるネイルサロン
「BLC nail salon」を運営。
代表作ともいえる”ブローチネイル”を
はじめ、繊細で芸術性の高いアートを得意とする。
全国的な人気を誇り、イベントやセミナーでの講師も務める。

Instagram
BLC for Corde
水彩講師試験/水彩アドバンスセミナー
 
 

ネイルがまだ日常になかったころ

 
今日はよろしくお願いします。さっそくですが、ファーストキャリアはネイリストではなかったとか。
 
前職は医療関係で病院に勤務していました。
 
時代もネイルが身近にはなく。ジェルネイルも当然ないですし。「ネイルなんてわたしたちとは関係のない、遠くの特別な存在」というイメージでした。
 
そんなとき、友人が「ネイルの道具を一式買ったからよかったらやってほしい」と言ってきたんです。ネイルを塗ったことはもちろん、ネイルサロンにも行ったことがなかったのに。
 

 
自分で言うのもなんですが、手先が器用なほうでした。その友人は私の趣味がハンドメイドや洋服作りであることを知っていたので、「できるんじゃないか?」と思ってもらえたのかもしれません(笑)。
 
ネイルとは偶然の出会いだったんですね(笑)。
 
昔からものつくりが好きだったんです。どうしたらもっと素敵なものが作れるかな……って考えながら、0から自由に作るのが楽しくて。
 
お父さまやお母さまの教育方針も影響があったんでしょうか?
 
両親は比較的自由に育ててくれましたね。ただ「何か資格は取ったほうがいい」と言われていましたね(笑)。それもあって最初は医療関係に従事しました。
 

人を喜ばせたくてネイルを学んだ

 
田辺先生の用意したマテリアル。
 
そのご友人にネイルをしてあげたんですか?
 
はい。最初だからもう何もわからなくて(笑)。「どうすればもっとかわいく仕上げることができるかな」とただただ試行錯誤してやってみました。
 
ご友人の反応はどうでしたか?
 
すごい喜んでくれて。そしてそれが私もすごく嬉しくて。
 
医療関係の仕事もそうでしたが、「周りの人が笑顔になってくれる・喜んでくれる」ことが好きなんだなと思いました。
 
学生のころにしていたハンドメイドも、出来たものをあげて喜んでくれる人がいたから好きだったんだなと。
 
自分も相手も嬉しいって本当に素敵ですね。
 
当然今ではネイルが大好きですが、自分にネイルを施すのが好きでネイリストを始めたわけではなくて。
 
私のしたことでこんなに喜んでもらえるなら、ネイルをもっといろんなひとにやってあげたいと思ったんです。
 
それから仕事が終わったあと自宅にひとを招いてネイルをさせてもらうようになりました。
無料でやるからよかったらと。
 

 
前職を続けながらやられていたんですね。お忙しそう……。
 
おしゃべりしながら楽しく塗らせてもらっていたので、大変なだけというわけではなかったです。
 
どれくらい人がいらっしゃったんですか?
 
ほとんど毎日ひとがきてくれましたね。最初は友人でしたが、紹介が重なって遠方からきてくださった見ず知らずの方もたくさんいらっしゃいました。
 
たくさんの人に喜んでもらううちに「もっとネイルのことを知りたい」と思って検定を受けたり、夜勤のない仕事に転職したりしました。
 
そんな生活が7年間くらい続きました。
 
そんなに長い間やられていたんですね。平日毎日1人の方に塗っていたとしたら1000人以上……。すごく大変そうですが、経験も溜まりそう。
 

ネイリストからも人気のネイルアートはどう思いつくのか。

 
印象に残っているお客さまはいらっしゃいましたか?
 
お客さまはみなさん素敵なかたばかりでしたが、当時ガングロメイクが流行っていた時代で。
 
「誰よりも派手なネイルをしてください」とお願いしてくださるかたが多かったことが印象に残っていますね。
 
既存のネイルやスタンダードな材料では間に合わなくて、必死に材料やデザインを研究しました。あの経験で鍛えられたのかな(笑)。
 
先生の枠にとらわれないネイルアートの源泉はギャルだったんですね(笑)。
 
そこから自分が素敵だなー可愛いなーと思った材料を自由に使うようになりました。
 
インテリア雑誌とかアンティークの家具屋さんから発想を得ることが多いかな……。そういったものを読んだり見たりしているとアイデアがパッと浮かびます。
 
すぐ試したくなって自宅で試行錯誤して。その後「マテリアルは何をどう組み合わせようかなー」とずーっと考えて。考えて、試して、考えて、試して……。
 

 
1つの作品が完成するまでに膨大な時間がかかっているんでしょうね。
 
もう10年以上考えつづけているデザインもありますよ。
 
それは……(笑)。完成するのが楽しみです。
 
でも夢の中でパッと思いついて、「起きて試してハイ完成!」って場合もありますね。好評いただいているデザインのなかにも夢で思いついたものが多くあります(笑)。
 
ちなみにその作品の名前は?
 
「ボタニカルガーデン」も「レリーフネイル」もそうですね。
 

ボタニカルガーデン

ボタニカルガーデン (クイックver.)
(レッスン動画のページは画像をクリック)

 
レリーフネイル

レリーフネイル
(レッスン動画のページは画像をクリック)

 
この2つの制作の背景には、そんなことがあったんですね(笑)。
 

ネイリストの講師として、1人のネイリストとしてのこれから

 
田辺先生は今ネイリストの講師としても国内外で活躍されてますね。
 
やっぱり1番嬉しいのは、目の前のお客さまが喜んでくださったとき。それがネイリストとして仕事を続けている理由なのでこれからも現場に立ちつづけたいですね。
 
「ブライダルネイルは『BLC』でって決めてたんです」ととても遠くからきてくださったり。人生の大事な節目を担当させてもらえるのはとても嬉しい。
 
けれどヘアサロンと違って、ネイルサロンに行ったことのない人もまだまだ多い。ネイルをもっともっと多くの女性の日常に届けたいという思いもあります。
 
ネイリストとしてではなく、ネイルの講師として大切にしていることは何かありますか?
 
お話しさせていただくネイリストの先にいるお客さまのことを考えるようにしています。セミナーで向かい合うネイリストが担当するお客さまにも喜んでもらえるか。
 
田辺先生のネイル道具
 
だからレクチャーさせてもらうデザインはお客さまの好みに合わせて変えられるように、バリエーションのあるものにしています。
 
あとは私のネイルデザインは、マテリアルもデザインの過程も変わっているものが多いので、きっとお客さまはびっくりするだろうなと思うんです。
 
だから、そのびっくりをネイリストとそのお客さまの間で楽しんでもらえるようにはどうすればいいかなと考えながらレクチャーさせていただいていますね。
 
どこまでもお客さま目線なんですね。
 
ただ、セミナーの募集をする度、出産直後だったり、仕事が休めなくて行けないって方がいて。セミナーにきてくださっても、赤ちゃんをあやすために席を立つかたもいたり。
 
女性が仕事を持つと、結婚や出産、育児と両立するだけで大変で、新しいことを学ぶことがすごく難しいと思うんです。何かもっと力になりたいな、そういう思いをすくってあげたいなと思った。
 
だからMIROOMでオンラインレッスンをやりませんか? と声かけていただいたときはこれだと思ったんです。ネイリストのために会社を立ちあげた人がいるんだと思い、感銘も受けました。
 
そのようなことを言っていただけるなんてとてもうれしいです。こちらとしても精一杯頑張っていきますので、今後ともよろしくおねがいします。
 

 

MIROOM MAG編集部から

 
いかがでしたか。
 
ネイルの技術もサロンの経営も、相手への想いがあってこそ。
 
田辺先生の徹底したお客さまへの気遣いとプロ意識に、こちらも身が引きしまりました。
 
ユニークで可愛らしい田辺先生のネイルのレッスンはこちらからチェックしてみてくださいね。