味も形もバリエーション豊富!パウンドケーキの歴史

店によって味も形も異なる「パウンドケーキ」


パウンドケーキは、店によってかなり味が異なることをご存知でしょうか?
 
どっしり重いものからふんわりした口どけのものまで、食感もいろいろ。
 
型の種類も豊富で、決まった形がある訳でもありません。
 
パンのような見た目で、ケーキのような味をしたパウンドケーキ。
 
その歴史を深掘りしながら、パウンドケーキとは何なのか、その正体を探っていきましょう。
 

パンからケーキへ


ケーキの原型は、スイスの石器時代にはすでに存在しました。
 
古代のケーキは、穀物を練って焼いただけの硬くて平らなもので、パンとケーキの境目もあいまい。
 
それが料理技術の発達とともに、現在のような形に変わっていきました。
 

甘いパン作りの始まり


焼く習慣は、古代ギリシャ時代からあったのだとか。
 
小麦粉をこねた生地にはちみつやアーモンドを加えて甘みを出していました。
 
古代ギリシャ・古代ローマ時代に書かれた「農業論」にも様々な方法で作られたケーキが登場します。
 
甘いパンをデザートとして食べる習慣も、古代ギリシャで始まったと言われています。
 

イーストで生地を膨らませる


穀物の生地を膨らませる技術を最初に見つけたのは、古代エジプト人。
 
ビールを作っているとき、ビール酵母の働きで偶然にふくらんだパン生地を焼いたことから始まりました。
 
卵で生地を膨らませる技術が生まれるまで、ケーキもパンもイーストで膨らませるのが普通だったのです。
 

「ケーキ」という言葉の誕生


英語で「ケーキ」という呼び名が定着するのは西暦1200年頃のこと。
 
10世紀ごろヨーロッパに砂糖が伝わったのがきっかけで、イタリアを中心にお菓子作りが盛んに行われるように。
 
英語では「ケーキ」、フランスでは「ガトー」、ドイツ語では「クーヘン」などと呼ばれる、様々なお菓子が誕生するようになったのです。
 

卵で膨らませる技術の登場


イーストの代わりに卵を使用して膨らませる技術が生まれたのは、随分とあとのこと。
 
ルネッサンス期の料理書に卵白を泡立てて膨らませる調理方法が登場しますが、その技術が次第にお菓子にも使われるようになったと言われています。
 
1615年に書かれたジャーヴェス・マーカムの 「The English Housewife」という料理書には、現在と同じようなスポンジケーキのレシピが掲載されています。
 

パウンドケーキの誕生


パウンドケーキが誕生したのは18世紀、イギリスでのこと。
 
当時イギリスでは、砂糖漬けのフルーツの皮をふんだんに使ったフルーツケーキを、ウェディングケーキとして出す習慣がありました。
 
バター、砂糖、小麦粉をそれぞれ1ポンド(約454g) ずつ使うことから、そのケーキが「パウンドケーキ」と呼ばれるようになったのです。
 
長期保存するため、出来上がったケーキにはシュガーコーティングが施されるという、甘めの味付けだったそう。
 


ちなみにフランスではパウンドケーキは「キャトルカール」とも呼ばれています。
 
「キャトル」が四、「カール」が四分の一という意味で、こちらもバター、砂糖、小麦粉、卵の4つの材料を1:1:1:1の割合で使用することからつけられたということです。
 
こうして、卵で膨らませるケーキの中でも、パウンドケーキが定番のお菓子となっていきました。
 
当時はイーストで膨らませるほうが安価だったため、卵で膨らませたパウンドケーキは高級品とされていたとか。
 

イギリスのウェディングケーキ


バター、砂糖、小麦粉をそれぞれ454gずつ使うと、とても食べきれない量のケーキが出来上がってしまいますよね。
 
それもそのはず、イギリスのウェディングケーキは三段重ねが基本だったのです。
 
1段目は出席した方へのおすそ分けに、2段目は当日来られなかった方に、3段目は二人の子どものためにとっておく、という意味合いがあったのだそう。
 
1ポンドずつでは量が多いので、ご自宅でパウンドケーキを作るときのレシピは、約半量の200gずつ、もしくは約四分の一の100gずつとなっているのが一般的です。
 

贈答用の人気ケーキに


20世紀前半になると、様々な食料品店がパウンドケーキを取り扱うようになります。
 
比較的日持ちが良かったことから、クリスマスなど季節の贈答品として定着していきました。
 
現在でも、遠方のご友人やご親戚に送るプレゼントとして活躍してくれていますね。
 

見た目も味もバラエティ豊かに


現在のパウンドケーキは、必ずしも材料を1:1:1:1で混ぜ合わせているわけではありません。
 
小麦粉・バター・卵・砂糖を混ぜ合わせ、 乾燥果実を加えるなどして焼き上げたものを、すべてまとめて「パウンドケーキ」と呼んでいます。
 
また、材料にサツマイモや抹茶、コーヒーを加えるなど、味のバリエーションも豊富に。
 
お茶の間のティータイムには欠かせない存在となりました。
 

アレンジレシピは無限大


1:1:1:1の黄金比率で作るもよし、素材によって比率を変えてもよし。
 
そのあたりのさじ加減が、作り手の腕の見せどころになってきますよ。
 
レシピの数だけ、様々に異なる見た目や味のパウンドケーキが作られます。
 
小麦粉に全粒粉を混ぜたり、砂糖も上白糖ではなく黒糖を使ってみたり、工夫の余地は無限大。
 
ぜひ、お気に入りのパウンドケーキレシピを見つけてみてくださいね。