ふわふわマシュマロともちもちギモーヴ、日本のホワイトデーを彩るスイーツの歴史

似ているようで違うマシュマロとギモーヴ


ふわふわ甘いマシュマロと、もちもちとフルーティーな味わいのギモーヴ。
 
メレンゲにシロップを加えてゼラチンで固めたものが「マシュマロ」、フルーツピューレにゼラチンを加えて固めたものが「ギモーヴ」です。
 
見た目はよく似ているけれど、味わいや食感は異なり、それぞれに魅力がありますよね。
 
今回は、そんな「マシュマロ」と「ギモーヴ」の歴史について調べてみました。
 

薬用として使われた「マーシュ・マロウ」

マシュマロとギモーヴという二つの人気のお菓子ですが、その起源はイギリスやフランスという国ができるずっと前にさかのぼります。
 
なんと、古代エジプトの王族が「マーシュ・マロウ」(Marsh mallow)と呼ばれる植物の根をすりつぶし、喉薬として用いていたことが始まりなのだとか。
 

ウスベニタチアオイとは


「マーシュ・マロウ」は、日本語では「ウスベニタチアオイ」と呼ばれるアオイ科の植物。
 
立ち姿がタチアオイに似ていて、ピンク色の花を咲かせることからつけられました。
 
若葉、花は現在でもハーブティーに利用されており、のどの痛みを緩和すると言われています。
 
花びらの青白からピンクへのグラデーションが可愛らしく、観賞用としても人気。
 
「恩恵、慈善」という花言葉もつけられています。
 

植物がお菓子に変身


「ウスベニタチアオイ」のでんぷんを使った薬は、ヨーロッパ諸国の成立とともに、イギリスやフランスに伝えられました。
 
そのまま長く薬用に用いられていたのです。
 
お菓子として広がったのは、ほんの200年ほど前のこと。
 
19世紀、フランスなどのヨーロッパの菓子職人が、根のエキスに砂糖を加え、普及させました。
 
原料の「ウスベニタチアオイ」が英語で「マシュマロ」、フランス語で「ギモーヴ」と呼ばれていたので、そのままお菓子の名前として定着。
 


このとき、フランスはほかの地域とは少し異なった製法を採用しました。
 
フランス風の製法では、メレンゲを使わないのが特徴。
 
フルーツピューレを使って、味もジューシーに。
 
そうして「ギモーヴ」は、「マシュマロ」とはひと味違うお菓子になったのです。
 
国によって好みの味付けが違った結果、2種類のお菓子に分かれていったのですね。
 
ちなみに現代の製法では「ウスベニタチアオイ」は使われておらず、食べても咳止め効果はありません。
 

日本でのマシュマロとギモーヴ


日本ではバレンタインのお返しとして人気のマシュマロ。
 
子どもの頃は「ホワイトデーのお返しがマシュマロだったら本命、キャンディーだったら義理」などと、まことしやかに噂されたものです。
 
ここからは、日本でのマシュマロの歴史とホワイトデーについてお伝えします。
 

マシュマロの渡来


日本でマシュマロが初めて販売されたのは1892年。
 
現在でも「ゴーフル」で有名な、風月堂が最初だと言われています。
 
1892年7月6日の朝日新聞の朝刊には『「風月堂」が「真珠麿(マシュマロの当て字)」を発売した』と記事が掲載されているのだとか。
 

森永創業初のお菓子もマシュマロだった


現在では名だたる大企業となった森永。
 
創業は1899年のことでした。
 
創業者の森永太一郎氏はアメリカで製菓の修行を積み、帰国して森永の前身となる森永西洋菓子製造所を創業。
 
一番最初の主力商品はマシュマロだったそうです。
 

ホワイトデーにキャンディーとマシュマロ


お菓子業界では、昭和50年代からビスケットやマシュマロ、キャンディーなどをバレンタインのお返しとして宣伝販売していました。
 
はじめは、3月14日とは決まっておらず、個別にお返しの日を決めていたようです。
 
3月14日がホワイトデーとなった理由は諸説あり、様々な企業が「元祖」だと主張しています。
 


まずは全国飴菓子工業協同組合説。
 
組合がキャンディーの販売促進のためにホワイトデーを3月14日に制定したというもの。
 
1980年には三越・電通の協力を得て、大々的なホワイトデーキャンペーンを開催しています。
 


次に、石村萬盛堂説。

 
福岡の老舗菓子屋である石村萬盛堂が、ほかにイベントのない時期に当たる3月14日を「マシュマロデー」として、バレンタインの返礼をする日にしたという説です。
 
この「マシュマロデー」が1980年代に「ホワイトデー」と名称変更されたのだといわれます。
 


最後に不二家説。
 
バレンタインデーのお返しをする日を作ってはどうかという案が出され、1973年3月14日にキャンペーンを始めたのが最初だという説です。
 

結果として、日本には3月14日に「ホワイトデー」という独自の催事が生まれ、ホワイトデーにはマシュマロとキャンディーの両方が宣伝・販売される状況になっているのです。
 


ちなみに海外でのバレンタインデーは男女問わず、好きな人に贈り物をする日。
 
男性から女性に贈ることもできるし、内容もお菓子とは決まっていません。
 
しかし、たとえ義理であってももらったものにお返しをする日を作ろうという発想は、日本人ならでは。
 
現在は日本の影響で、アジアの一部でもホワイトデーが行われているのだそうです。
 

ギモーヴ人気が急上昇中


どちらも元は薬として使われていたマシュマロとギモーヴ。
 
日本では戦後アメリカの影響を強く受けていた日本では、先にマシュマロのほうがメジャーとなり、フランス風製法であるギモーヴはあまり注目されてきませんでした。
 
ところがこの数年で、ギモーヴの人気が急上昇中♪
 
フランスで修行を積んだパティシエたちが日本で開業し、こぞってギモーヴを広めているのだとか。
 
それぞれに違った魅力があるマシュマロとギモーヴ、ぜひ食べ比べてみてくださいね。