バター不足の原因は?歴史から見るバターの実態

どうしてバターが足りなくなるの?


2015年にバターが不足して以来、値段が高騰しているバター。
 
日本の牛乳の自給率は100%。それなのに、バターの価格はオーストラリアの倍以上。
 
どうして日本のバターはこんなに高いの?どうしていつも不足しているの?
 
その理由は、長い歴史とも関わりがあったのです。
 

西洋のバターの歴史


バターと言えばパン食文化のイギリスやフランスをイメージする方も多いのでは。
 
実は、イギリスやフランスという国が生まれるずっと昔から、バターは存在していたのです。
 
もともとは食用ではなく薬用に使われていたのだそう。
 
まずは、バターの起源から食用として定着するまでの歴史をご紹介しましょう。
 

バターの起源


バターの歴史はあまりに古く、その起源は定かではありません。
 
紀元前四千年のイスラエルから、バターの生産に使われていたとみられる土器が出土しており、すでにバターの生産が始まっていたことが分かっています。
 
紀元前5世紀ごろ編纂(へんさん)されたと言われる旧約聖書にも「かくてアブラハムはバターを取り、乳を取り…」という一説があることからも、バターの歴史の古さが窺えます。

 

薬としてのバター


バターが生まれた当時は、遊牧民が好んで食べていたのだそうです。
 
そのため、バターがローマに伝わった時も「野蛮人の食べ物」とされ、口にする人は少なかったとか。
 
ところが、皮膚を軟らかくする効果があるとして注目を浴び、皮膚に塗ったりお風呂に入れたりする習慣が生まれました。
 
また、整髪料や灯油の代わりとしても使われるように。
 
ヨーロッパではこのように、薬としてバターを使う習慣が市民権を得るようになっていきました。
 

料理の材料として普及


ヨーロッパではオリーブ油が普及していたため、食用として普及したのはずっと後のこと。
 
ヴァイキングやノルマン人の征服を受けた北ヨーロッパでは14~15世紀頃に食用として定着し始めましたが、「野蛮人の食べ物」という見方は変わらず、貧しいものの食料と考えられていました。
 
貴族がバターを口にするようになったのは、フランス料理で本格的に利用されてからのことだったのです。
 
それでも南ヨーロッパでは、日本人が思うほどバターの普及率は高くありません。
 
イタリア料理ではパンと一緒にオリーブ油を出されることが多いですね。
 
ヨーロッパでは現在でも、バターが主流の地域とオリーブ油が主流の地域にはっきりと分かれているのだとか。
 

日本のバターの歴史


古くから日本では米が主食でした。。
 
けれども現在では、多くのご家庭でバターが常備されているのではないでしょうか?
 
ここからは日本のバターの歴史をご紹介しましょう。
 

乳製品文化の始まり


牛乳の成分を加工してチーズやバターを作る技術は、昔の日本にも存在しました。
 
牛乳が中国から伝わってきたのは飛鳥時代のことで、そのころ牛乳を煮詰めて作った「酥(そ)」が、現在のチーズやバターに近いものだったのではないかと考えられています。
 

現在のバターは明治時代に生まれた


武士の時代になると、乳製品の文化はすっかり途絶えてしまいます。
 
再び日本でバターが生産されるようになったのは明治時代のこと。
 
文明開化の時代、アメリカから伝わったバターは西洋風食品のシンボルとなりました。
 
まもなく、バターは日本でも生産されるように。
 

食料自給率の低下


日本でもバターの製品が活発になり、1960年代バターを含めた乳製品の自給率は89%を記録していました。
 
ところが、この頃から工業化によって農家・酪農家の減少が相次ぎます。
 
日本人のコメの消費量が減少したという理由で政府が減反政策を行うなど、生産調整まで行われるようになり、農家にとっては大打撃。
 
農家の減少とともに酪農家も減っていきます。
 

生産調整とバター不足


牛乳が余っていたので、2006年度から、牛乳にも生産調整が入りました。
 
政府の命令で乳牛を削減しなければいけなかったのです。
 
ところが、2015年以降猛暑の影響で、生乳の生産が突然落ち込みます。
 
減らした乳牛を急に増やせるわけもなく、日本は急激なバター不足に陥りました。
 


実は一般人がバターを輸入することはできません。
 
法律で政府しか輸入できないことになっています。
 
猛暑の影響で深刻なバター不足に陥ったときも、政府が緊急輸入を決定するまでにかなりの時間を要しました。
 
その後は輸入を増やし、農林水産省は2017年度のバター輸入量を前年度比約2倍の13,000トンに設定。
 
深刻なバター不足からは抜け出したものの、輸入品には高い関税がかけられているため、海外のような安いバターは実現しそうにありません。
 

バターだけが不足するのはなぜ?


実は日本の生乳は加工の仕方に優先順位があります。
 
その順位とは牛乳→生クリーム→チーズ→バター。
 
バターは一番後回しにされています。
 
そのため、牛乳の生産量が落ちると、まず始めにバターが不足するという構図が出来上がっているのだそう。
 

たまにはイタリア風を楽しんでみては?


生産調整をした結果、収穫の悪い年にバターが一気に不足してしまうのですね。
 
とはいえ、バターを食べる文化は明治以降アメリカから持ち込まれたもの。
 
オリーブ油がメインのイタリアなど南ヨーロッパでは、今でもそれほどバターが重要というわけではないみたい。
 
日本人はバターのある暮らしに慣れすぎているのかもしれません。
 
バターが高くて買えないときには、オリーブ油でイタリア風の食事を楽しんでみてはいかがでしょう♪